こんにちは、看護技術の記事を担当している元看護師のTOMOです。
今回は、胃ろう患者のPEGカテーテルの交換と術後ケアについてお伝えします。
新人看護師の中には、初めて担当した患者さんが胃ろうの人で看護ケアが分からなかったという経験をした人もいるのではないでしょうか?
最近では在宅で生活するために胃ろうを造設する患者さんも多くなってきています。
在宅で生活を行う患者さんの場合は、家族への胃ろうの扱いについて指導を行うことも。
胃ろうは長い期間留置しておくものなので、術後のケアや合併症を予防するケアを行うことが大切です。
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胃ろう(PEG)の目的
経口摂取できない場合や、通常の食事以外にも栄養摂取が必要な場合に実施する
胃ろう(PEG)の適応
在宅での治療を行うための胃ろうの造設は、経腸栄養が目的となります。
経口摂取が困難な場合に、経腸栄養によって食事摂取を行うため、胃ろうを造設することがあります。
- 脳血管疾患や認知症などで経口摂取が困難な場合
- 誤嚥性肺炎を繰り返す場合
- がんなどで咽頭、食道、胃吻門部に狭窄がある場合
- クローン病などで長期成分栄養が必要な場合
これらが経腸栄養目的で胃ろうの適応になります。
経口摂取が困難な患者さんに対して、胃ろうを造設して栄養摂取を行うだけでなく、誤嚥性肺炎などを繰り返してしまう場合も適応となります。
胃幽門閉塞に対しての減圧目的
経口摂取が困難な場合だけでなく、胃幽門閉鎖に対して減圧目的で胃ろうの造設が行われます。
減圧目的で行われる治療には、MGチューブを鼻から挿入する方法もありますが、長期留置になり苦痛も伴います。
胃ろうを造設することによって、苦痛から解放され患者さんのQOLの向上にもつながります。
胃ろう(PEG)ケアの必要物品
- ガーゼ
- 微温湯
- ティッシュ
胃ろう(PEG)ケアの手順
1.術後1日目は石鹸などを使用せず微温湯で胃ろう周囲を洗い流す。
POINT術後翌日から消毒ではなく洗浄を行う。
2.浸出液などで汚染されることが多いので、汚染があれば洗浄を行い清潔を保持する。
3.洗浄が終わったら自然乾燥させ、PEGのストッパー部分と皮膚の間にこよりを巻く。
4.術後1週間からシャワー浴が開始されるので、シャワー時に洗浄を行う。
5.術後2週間後には入浴も開始されるので、入浴時に洗浄する。
POINT胃ろう部分は保護せず、そのままシャワーや湯船に入ることができる。
PEGカテーテルの交換
造設されたPEGカテーテルは、ずっと同じものを使い続けるのではなく、一定期間ごとに交換をする必要があります。
バンパー型のPEGカテーテルの場合は、患者さんとカテーテルの状況を判断して6〜10ヶ月の間に交換を行います。
バルーン型のPEGカテーテルの場合は、原則は1ヶ月に1回の交換となっています。
ただし、患者さんや家族に説明を行い希望があった場合hには、負担を軽減するために2ヶ月に1回の交換になります。
また、カテーテルが詰まってしまった場合なども、カテーテルの交換の対象になります。
PEGカテーテルの交換は内視鏡下で行う
PEGカテーテルの交換は、腹腔内誤挿入などのリスクもあるため、内視鏡下で医師が行います。
交換後に腹壁に留置されているか内視鏡で確認を行い、造影や着色した水やお茶を注入して、吸引・胃液吸引などにより留置の確認をします。
PEGカテーテルの交換は、患者さんにとって痛みを伴うこともあり、トラブルが発生することもあります。
何らかのトラブルや危険が予測される場合には、注意して行う必要があります。
PEGカテーテル交換前後の観察
PEGカテーテルの交換前後の観察は、トラブルを防ぐためにも重要なポイントになります。
交換前は、バイタルサインや抗血栓薬の投与が中止されているかを確認しておきます。
発熱などの症状が見られる場合は、PEGカテーテルにトラブルがない限り、交換を延期します。
また、PEGカテーテルの交換の時に出血が見られることもあるので、抗血栓薬の中止も確認が必要です。
交換後の栄養剤投与
交換後はPEGカテーテルの部位からの出血が起きていないかなどを確認します。
問題がなければ栄養剤の投与を開始し、腹痛や腹部膨満感、冷汗、顔色不良、バイタルサインの変動などを観察します。
また、交換後は胃が空の状態でしぼんでいるため、挿入後の確認が難しくなります。
そのため、お茶や白湯などを200mlほど事前に注入して、交換後の確認を確実にできるようにしておくことがポイントです。
胃ろう(PEG)の合併症
胃ろうの造設は、手術室で内視鏡を用いて行われます。
術後の合併症を起こさないためにも、術後の管理や看護ケアがポイントになってきます。
主な合併症は以下の通りです。
- 局所圧迫壊死
- 創感染
- PEGカテーテルの逸脱(バルーンの脱気、破裂、バンパー埋没、脱落)
- 胃排出機能低下、イレウス
- 胃潰瘍
- 幽門狭窄
これらが術後に起こりやすい合併症になります。
特に術後は、創部感染やPEGカテーテルの管理が大切になり、患者さんがカテーテルを触ってトラブルになってしまうこともあります。
胃ろう(PEG)の術後の観察ポイント
術後感染を起こしてしまうと全身状態にも影響してしまうため、注意する必要があります。
- 感染の兆候
- 腹膜炎の兆候
- PEGカテーテルの固定
これらが最低限押さえておきたい観察項目になります。
胃ろう部分の表面的な観察だけでなく、全身状態やデータを評価しながら観察することが大切です。
胃ろうを造設する人の中には、自分で訴えることができない患者さんもいるので、しっかり観察を行いましょう。
術後の感染は治癒遅延の原因にもなってしまうので、毎日洗浄を行いながら忘れずに観察を行いましょう。
早期発見が患者さんの安全と安心につながります。
胃ろう(PEG)の看護ケアを理解するために
胃ろうはスキントラブルなどが起こりやすいため、術後のケアや日頃の観察が重要になります。
在宅で治療を行う患者さんの場合は、家族への胃ろうの扱いを指導しなければならないため、正しい知識を身につけておくことが大切です。
胃ろうはシャワーや入浴もできるので、扱いやすいカテーテルの一つでもあります。
胃ろう(PEG)もっと深く学びたい人におすすめの参考書
胃ろう(PEG)についてもっと詳しく学びたい人には、こちらの参考書がおすすめです!
この本では、新人看護師の疑問や技術の根拠が詳しくのっているため、基礎的な部分を学びたい人にはピッタリの1冊です。
また、Part7の摂食・栄養ケアのカテゴリーでは、胃ろうについても詳しく説明されています。
臨床で必要になる看護技術が51項目も紹介されているので、ほとんどの分野で活用できる内容です。
その他にも、胃ろうをはじめ基礎的な看護技術を学びたい看護師のために、おすすめの参考書をまとめていますので、是非こちらも確認してみてくださいね!⇒臨床看護技術を勉強したい看護師にオススメの参考書3選!
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