たった10分で点滴滴下計算が身に付く方法とは?【時間管理の早見表付】

こんにちは、看護技術の記事を担当している元看護師のTOMOです。

今回は、点滴滴下の計算方法についてお伝えします。

病院で働く看護師にとって避けて通れないのが、点滴滴下計算ですよね。

学生時代から点滴の計算が苦手だったと感じている新人看護師も多いかもしれません。

点滴滴下計算は患者さんの安全のためにも必要な技術になってくるので、しっかり身につけておきましょう。

点滴の滴下計算は、計算方法を理解して慣れてしまうと、簡単にできるようになります!

点滴ルートの種類について

多くの病院には2種類の輸液セットが準備されています。

成人用

輸液セットは水色で20滴/mlの表示です。

小児用

輸液セットはピンク色で60滴/mlの表示です。

このように成人用と小児用がありますが、輸液セットの色は統一されているので合わせて覚えておく事が大切です。

これらの輸液セットは滴下数が違うので、輸液セットの種類を間違えてしまうと滴下計算も正しく行えないので注意しましょう。

簡単にできる!点滴滴下計算方法

点滴の指示が出たら、患者さんに投与するために滴下数の計算が必要になります。

点滴の滴下計算の式は以下の通りです。

1分間あたりの滴下数=(指示輸液総量)÷(指示輸液時間≪分≫)×(輸液セット1mlあたりの滴下数)

実際の業務の中では、このような複雑な計算はすぐに出来ない!と思っている人も多いはず。

簡単にできる点滴滴下計算方法を見ていきましょう。

 1秒あたりの滴下数を計算する

実際に業務の中で点滴を投与するときは、「○秒で○滴落とす」または「○秒で1滴落とす」と計算すると輸液が合わせやすいです。

そのためには、先ほどの1分間あたりの滴下数の計算をマスターしておきましょう。

1分間あたりの滴下数の数字を60で割るだけで、1秒あたりの滴下数を出す事が出来ます。

10秒あたりの滴下数を計算する

10秒あたりの滴下数を出す事で、滴下が合わせやすくなるので、計算方法を紹介します。

計算方法は以下の通りです。

  • 輸液総量mL÷指示輸液時間(h)で1時間に何ml輸液するか計算する
  • 計算した数字を、小児用ルートであれば6で、成人用ルートであれば18で割る

このように計算する事で、10秒あたりの滴下数を計算する事が出来ます。

10秒あたりの滴下数で計算する方が、実際に合わすときに楽になります。

時間管理がひと目で分かる早見表

滴下計算がすぐに出来ない人は、早見表に頼ることも方法の一つです。

成人用ルート(1ml=20滴)1分間の滴下数
分/ml 20 30 40 60 80 100 200
30分 13 45 18 68 24 84 47
60分 7 10 13 20 27 33 67
120分 3 5 7 10 13 17 33
180分 2 3 4 7 9 11 22
小児用ルート(1ml/60滴)1分間の滴下数
分/ml 20 30 40 60 80 100 200
30分 40 45 53 68 71 84 142
60分 20 30 40 60 80 100 200
120分 10 15 20 30 40 50 100
180分 7 10 13 20 27 33  67

早見表には1分間あたりの数字が書かれているので、その数字を1秒あたり、10秒あたりの滴下数で計算する事で、滴下数を簡単に出す事が出来ます。

病棟によって、よく使う輸液の量は決まっている事が多いので、自分の職場でよく使う量の場所をメモしておくと便利です。

早見表を活用するときは、成人用ルート、小児用ルートの2種類あるので、見る部分を間違えないようにしましょう。

どうしても自分で計算するのが苦手な看護師にオススメの計算機・アプリ

仕事に慣れない新人ナースや点滴計算がどうしても苦手な人もいると思います。

そんな人にオススメの計算機とアプリを紹介します。

数字を入力するだけで計算できる点滴滴下計算ができる計算機

▼こちらのHPに飛ぶと簡単に点滴滴下数が計算できるページの飛びます

(引用:http://web.sfc.keio.ac.jp/~chieko/calc/tenteki.html

この計算機は、輸液量の合計、輸液セット、輸液時間を入力するだけで、1分間の滴下数を教えてくれます。

数字を入力するだけなので、簡単にすぐに滴下数を知る事が出来ます。

滴下計算があっているか不安という人も、答え合わせに活用することもできます。

急な指示にも対応できる点滴滴下計算ができるアプリ

先ほどの計算機でも計算はできますが、すぐに計算が必要という場面には向いていません。

点滴計算がアプリで出来れば、スマートフォン1つですぐに対応する事が出来ます。

点滴計算 – 滴下計算とタイマー管理

点滴計算 – 滴下計算とタイマー管理

滴下計算とタイマー管理のアプリでは、輸液量・所用時間・滴下速度の2項目を入力すると、自動で計算してくれます

輸液セットも20滴/ml、60滴/ml、15滴/mlから選択でき、それ以外の数字を指定して計算することも出来ます。

また、タイマー機能がついているので、点滴が終了するとアラームで教えてくれます。

タイマー機能は、複数の患者さんを設定して使う事ができるので、同時に管理することもできます。

点滴計算アプリ 「ナースの味方」

点滴計算アプリ「ナースの味方」

ナースの味方では、輸液総量と滴下時間を入力することで、1分間あたりの滴下数と1時間あたりの投与量の計算ができます。

また、点滴の開始時間を入力すると、自動滴に終了時間を計算してくれるので、点滴管理がしやすいです。

点滴セットは20滴と60滴の2種類に対応しています。

【応用編】点滴滴下計算を身につけるための計算問題

点滴の滴下計算は、数をこなして慣れて行くことも大切なので、計算問題で確認して行きましょう。

【問題1】200mlを50ml/h 成人用ルートで投与する時、30秒間の滴下数は?

答えは約8滴です。

成人用ルートは1ml=20滴なので、50mlの全滴下数は、50ml×20滴=1000滴となります。

1000滴を60分間かけて投与するので、1分間あたりの滴下数は、1000(滴)÷60 (分)=16.6・・・滴となります。

30秒間では、16.6・・・滴÷2=8.3滴となり、約8滴が正解となります。

【問題2】200mlを50ml/h 成人用ルートで投与する時、4秒間の滴下数は?

答えは約1滴です。

成人用ルートは1ml=20滴なので、50mlの全滴下数は、50ml×20滴=1000滴となります。

1000滴を60分間かけて投与するので、1分間あたりの滴下数は、1000(滴)÷60 (分)=16.6・・・滴となります。

4秒間では、16.6・・・滴÷15=1.0・・・滴となり、約1滴が正解となります。

【問題3】抗生剤と生食50mlを、小児用ルート 60分間で投与する時、1分間の滴下数は?

答えは約50滴です。

小児用ルートは1ml=60滴なので、50mlの全滴下数は、50ml×60滴=3000滴となります。

3000滴を60分間かけて投与するので、1分間あたりの滴下数は、3000(滴)÷60 (分)=50滴が正解となります。

【問題4】抗生剤と生食50mlを、30分間 成人用ルートで投与する時、1分間の滴下数は?

答えは約33滴です。

成人用ルートは1ml=20滴なので、50mlの全滴下数は、50ml×20滴=1000滴となります。

1000滴を30分間かけて投与するので、1分間あたりの滴下数は、1000(滴)÷30 (分)=33.3・・・滴が正解となります。

【問題5】500mlを60ml/h 成人用ルートで投与する時、1分間の滴下数は?

答えは約20滴です。

成人用ルートは1ml=20滴なので、60mlの全滴下数は、60ml×20滴=1200滴となります。

1200滴を60分間かけて投与するので、1分間あたりの滴下数は、1200(滴)÷60 (分)=20滴となります。

いくつ解けましたか?点滴の滴下計算は、数をこなして慣れて行く事が大切です。

間違えた問題があれば、再度確認しておきましょう。

点滴滴下計算は慣れれば簡単にできるようになる

点滴の滴下計算が苦手に感じている人は多いですが、点滴の計算は必ず必要になる技術の一つです。

輸液は患者さんにとって大切な治療であり、薬剤の取り扱いや滴下速度を間違えると命に直結する技術でもあります。

苦手意識から避けてしまいがちですが慣れると簡単に計算もこなすことができ、すぐに対応することができます。

今回紹介した計算方法や早見表、アプリなどを活用して、慣れていってください。

滴下計算についてもっと深く学びたい人におすすめの参考書

滴下計算をはじめ、輸液についてもっと詳しく学びたい人には、こちらの参考書がおすすめです!

看護の現場ですぐに役立つ 「輸液」のキホン ナースのためのスキルアップノート

この本では、輸液の基本からなぜその輸液を使うのかという根拠まで、細かく紹介されています。

現場では教えてもらえない輸液の基本が紹介されているので、輸液の基本を勉強したいという新人看護師におすすめの1冊です。

その他にも、輸液について学びたい看護師のために、おすすめの参考書をまとめていますので、是非こちらも確認してみてくださいね!⇒輸液療法について勉強したい看護師にオススメの参考書3選!

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★TOMO★

★TOMO★

看護学校卒業後は手術室で勤務。その後急性期病棟での看護を経験。現場の看護師不足の問題に直面し、看護師の採用に携わりたいと求人広告業界で営業として勤務。現在はPC1台で仕事をするため、看護師ライターを中心に活動。手術室で働く看護師を応援するため、webサイトで自身の経験を元に情報を発信している。https://openasnurse.com/