こんにちは、看護技術の記事を担当している元看護師のTOMOです。
今回は、胸腔ドレーンの管理が分かる3つのポイントについてお伝えします。
胸腔ドレーンは呼吸器外科や手術後に留置される事が多く、呼吸器病棟以外で扱うことは少ないかもしれません。
胸腔ドレーンは、持続的陰圧吸引でドレナージを行なっており、胸腔内に外界からの空気が流入しないような工夫が必要になります。
特にエアリークの有無は、胸腔ドレーンを観察する上で大切なポイントになってきます。
胸腔ドレーンに対して苦手意識を持っている人も、ドレーンのメカニズムと観察ポイントを押さえておけば安心して看護を行うことができますよ!
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胸腔ドレーンの目的
胸腔内に貯留した血液や胸水などを排出するため
胸腔ドレーンの適応
胸腔ドレーンが必要になる症例と目的は以下の通りです。
気胸
気胸とは肺が破れ呼吸が出来なくなってしまう疾患で、自然気胸や外傷性気胸、医原性気胸の時は、気体を外へ排出する目的で使用します。
胸部外傷
胸部を損傷した場合、肺の損傷と血液の貯留により呼吸が出来なくなってしまうため、気体と液体を排出する目的で使用します。
肺部分切除
肺の一部を切除する手術の術後に、気体と液体の排出する目的で使用します。
血胸、胸水、膿胸
肺に溜まった液体を排出する目的で使用します。
胸腔ドレーンはその名の通り胸腔に入っているものですが、疾患によって目的が少し違うので理解しておきましょう。
胸腔ドレーンの仕組み
胸腔ドレーンを正面から見てみると3つの部屋があり、患者さん側が排液ボトル、真ん中が水封室、吸引側が吸引圧制御ボトルとなっています。
それぞれの役割は以下の通りです。
排液ボトル
胸水や血液、膿など排出された液体が溜まっていきます。
水封室
蒸留水で水封されており胸腔内から排出された空気が気泡となって出てきます。
吸引側の外気は水封室の水でブロックされて胸腔側にいかないようになっています。
吸引圧制御ボトル
ボトル内に溜められた蒸留水の高さで吸引圧を設定します。
胸腔内には過剰な吸引圧はかかりません。
これらが胸腔ドレーンの仕組みになっていますが、簡単に言うと胸腔ドレーンも肺と同じような役割をしているということです。
陰圧をかけて肺と同じ環境を作っている
胸腔ドレーンは、患者さん→胸腔ドレーン→吸引という順番でつながれています。
胸腔ドレーンと他のドレーンの違いは、呼吸と直結している点です。
閉鎖式ドレーンバッグだけを接続してしまうと、バッグの中は、呼吸と連動して圧力がかかった状態になり排液ができなくなります。
肺にたまった液体を効率よく排液するためには、肺と同じように陰圧状態を作り呼吸状態を保持しながら排液する必要があります。
胸腔ドレーンの観察項目
胸腔ドレーンの接続
患者さんのドレーンと接続チューブの接続部位
エアリークの有無
排液の状態
色、性状、量
ドレーン刺入部位
発赤、疼痛、出血の有無
呼吸状態
呼吸困難の訴え、呼吸回数、呼吸音
胸腔ドレーンのポイント
胸腔ドレーンの観察のポイントとして、エアリークの有無が挙げられます。
エアリークとは空気漏れという意味を指しますが、胸腔ドレナージでは「胸腔内から気体が排出されている状態」のことを指します。
エアリークの確認は、胸腔ドレーンの真ん中にある水封室の液体に気泡が出現することで確認ができます。
通常は胸腔ドレナージの開始とともに連続的な気泡がみられ、その後断続的になり気泡が消失するのが正常の流れです。
- ドレナージ直後からリークがみられない
- 断続的になった気泡がまた連続的になった
- 気泡が減少しない
これらの状態が見られた場合は、ドレーン回路の異常や胸腔内での異常の発生が疑われるため注意が必要です。
胸腔ドレーンの管理をマスターするために
胸腔ドレーンは見た目から、管理に苦手意識を感じている新人看護師も多いと思います。
他のドレナージと違って、胸腔ドレーンは呼吸に直結するため異常があると命に関わることもあります。
エアリークの変化や出現は肺の異常にも関わってくるので、しっかり観察を行う事が大切です。
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