こんにちは、看護技術の記事を担当している元看護師のTOMOです。
今回は、気管切開を行うメリット・デメリットについてお伝えします。
気管切開をしている患者さんと出会う機会は多いけど処置やケアが分からない、自信がないという新人看護師も多いのではないでしょうか?
入院している患者さんの中には気管切開を行う人もいますが、気管切開が適応される目的を理解しておくことが大切です。
気管挿管ではなく気管切開が選択されることにも根拠があるので、しっかり把握しておきましょう。
気管切開の目的
気管を切開し、気道の確保を行い呼吸を維持するため
長期にわたって人工呼吸管理が必要な場合
脳卒中や中枢神経障害や難病の神経変性疾患以外に、どうしても抜管できないほどの呼吸状態が悪い場合が当てはまります。
気道分泌物の除去目的
分泌物が非常に多い基礎疾患がある場合や、自力で痰を出せない状態である場合。
上気道の閉塞
口や鼻から喉頭、声帯に何らかの異物や腫瘍、構造的な異常があり空気の通期障害が起きている場合。
これらが気管切開を行う目的ですが、ポイントは自力で呼吸や排痰ができない状態に行われるということです。
気管切開の適応
気管切開の適応となる疾患や症状は以下の通りです。
- アナフィラキシーショック
- 気道の先天性欠損
- 顔面や気道の火傷
- 頸部がん
- 慢性肺疾患
- 昏睡
- 横隔膜の機能障害
- 感染症
- 喉頭の怪我や腫瘍
- 胸壁の損傷
- 閉塞性睡眠時無呼吸
- 異物による気道閉塞
- 嚥下を伴う筋肉の麻痺
- 声帯麻痺
これらが気管切開の適応となる疾患や症状ですが、ポイントは老若男女問わず症状があれば適応となる点です。
気管切開と聞くと高齢者や脳卒中などによる障害を持った人をイメージしがちですが、疾患だけでなく緊急を要する症状がみられた場合は適応となるので理解しておきましょう。
気管切開のメリット・デメリット
気道を確保する場合、気管切開の他に気管内に挿管チューブを挿入する気管挿管という方法があります。
気管挿管とは、挿管チューブを口腔内や鼻腔内から挿入し、気道確保を行います。
主に意識がない、人工呼吸などの緊急処置が必要な場合、手術のために全身麻酔が必要な場合に行われる方法です。
ポイントは一般病棟での急変時は、気管挿管で気道確保が行われるということです。
気管挿管で気道が確保できないなどのよっぽどの状態ではない限り、緊急時は気管挿管が第一選択です。
気管挿管が長期間にわたって必要な場合は、気管切開を行います。
気管切開のメリット
気管切開を行うメリットを見ていきましょう。
- 気管内吸引が簡単
- カニューレの挿入・固定が簡単
- 患者の侵襲が少ない
- 口腔内が開放される
- 経口摂取が可能
- 口腔内の清潔保持ができる
- 自己抜管の危険性が少ない
これらが気管切開のメリットになりますが、気管挿管と違って口腔内が開放されるため、清潔ケアなどを行うことができます。
また、チューブの自己抜去の危険性も少なく、安全に管理ができる点がメリットとして挙げられます。
気管切開のデメリット
次に気管切開のデメリットを見ていきましょう。
- 手術による出血や感染などの可能性
- 合併症の可能性(気管感染・壊死など)
- 刺激による気管麻痺
- 誤嚥の危険性
気管切開を行うときは、手術になるため出血や感染などの危険性が高くなってしまいます。
また、気管感染や創部壊死などの合併症になってしまうことも考えられます。
これらが気管切開のメリット・デメリットですが、気管切開を行う患者さんに説明する際に必要な知識となってくるので理解しておきましょう。
気管切開を説明するポイント
挿管チューブで気道確保を行なっていた患者さんは、治療が長期間になってしまう場合は気管切開が適応されます。
家族からは、挿管チューブの方が痛みも少なく、ボディイメージの変化も少ないのにと声をかけられることもあるでしょう。
なぜ気管切開を行うのか、気管切開のメリットや必要性をしっかり説明できるようにしておくことが必要です。
正しい知識と説明が患者さんの安心につながります。
しっかり丁寧に分かりやすく説明を行うことが大切です!
気管切開を理解するために
気管切開をしている患者さんは多く、病院だけでなく在宅の現場でも多くみられています。
また、気管切開をした状態で、在宅へ帰っていく患者さんと家族への指導も必要になってくるので正しい知識を押さえておきましょう。
気管切開のケアは難しそう、気管切開はよくわからないと苦手意識を持っていた人もポイントを押さえておけば大丈夫です。
患者さんの家族にしっかり説明ができるようにしておきましょう!
気管切開についてもっと深く学びたい人におすすめの参考書
気管切開についてもっと詳しく学びたい人には、こちらの参考書がおすすめです!
この本では、基礎看護技術と臨床看護技術がどちらも紹介されており、内容もカラーで写真がたくさん使用されているので、イメージがしやすいのが特徴です。
第7章の呼吸・循環を整える技術のカテゴリーで気管切開についても詳しい説明があるので、看護技術の基礎を身につけるためにも是非持っておきたい1冊です。
その他にも、基礎的な看護技術を学びたい看護師のために、おすすめの参考書をまとめていますので、是非こちらも確認してみてくださいね!⇒臨床看護技術を勉強したい看護師にオススメの参考書3選!
関連記事(PR含む)
★TOMO★
最新記事 by ★TOMO★ (全て見る)
- 慌てず冷静になることが大切!病棟の急変対応の流れについて - 2018年3月4日
- カテーテルの長さがポイント!口腔内吸引の手順と吸引のコツ - 2018年3月2日
- 刺入部位の観察がポイント!中心静脈栄養中のケアの手順と観察項目 - 2018年3月2日