こんにちは、看護技術の記事を担当している元看護師のTOMOです。今回は、輸血で起こる副作用と観察ポイントについてお伝えします。
輸血は血液が必要な患者さんに行われる処置ですが、輸液と違って「移植」という扱いになります。
そのため、輸血を投与した時に命に関わる様々な副作用が生じることがあります。
輸血で起こる副作用は、すぐに対処する必要があるため、副作用の種類と対処法を知っておくことが大切です。
輸血の副作用に対処するためには、正しい観察力がポイントになります!
輸血の目的
血液を経静脈的に補うために実施する。
輸血実施中の副作用
輸血は、自分以外の血液成分が体に入るため、副作用が起こりやすい治療です。
輸血で起こる副作用にはいくつかあるので、特徴を押さえておくことが大切です。
- ABO不適合
- アナフィラキシー
- 輸血関連急性肺障害
- 輸血関連循環過負荷
- 最近感染症
これらが輸血開始から数時間内で起こる即時型の副作用になります。
すぐに異変が見られることもあるので、観察がポイントになります。
それぞれの副作用と観察のポイントを見ていきましょう。
ABO不適合
ABO不適合は、血液製剤や患者さんの取り違えなどによって起こることがあります。
ABOの血液型が不適合の患者さんへの投与により、血液内の抗体を破壊してしまいます。
発症時期は、輸血開始直後から数日の間です。
POINT観察のポイントは、発熱、悪寒、腹痛、胸痛、穿刺部位の熱感などが見られます。
アナフィラキシー
アナフィラキシーは、体内に自分以外の他人の血液が侵入することによって、強い抗体反応が生じてショック症状を起こします。
発症時期は、輸血中や輸血後に見られます。
POINT観察のポイントは、チアノーゼ、血管浮腫、皮膚の高潮、腹痛、喘息症状などが見られます。
輸血関連急性肺障害
白血球による抗原抗体反応により補体が活性化され、好中球が肺の毛細血管に損傷を与えることで発症します。
肺炎や敗血症、急性膵炎など重篤になりやすいことが特徴です。
POINT観察のポイントは、呼吸困難、頻脈、血圧低下などが見られます。
輸血関連循環過負荷
輸血の投与により心負荷がかかり心不全を起こすことがあります。
POINT観察のポイントは、呼吸困難、頻脈、血圧上昇などが見られます。
細菌感染症
血液製剤のパック内で細菌が繁殖し、投与することによって感染を起こしてしまうことがあります。
血液製剤の不適切な管理や保管が原因となります。
細菌感染症には、エンドトキシンショックなどが挙げられます。
POINT観察のポイントは、発熱、悪寒、頻脈、嘔気などが見られます。
輸血実施中の観察項目
全身状態
バイタルサイン、呼吸状態など
刺入部位
疼痛の訴え、腫脹など
患者の言動、表情
訴えの内容や苦痛な表情など
輸血実施中のポイント
輸血には様々な副作用が見られるため、実施中は観察をしっかり行うことが大切です。
輸血を実施する時のバイタルサイン測定の間隔は以下の通りです。
- 輸血開始直後
- 輸血開始15分後
- 輸血開始から15分経過後は30分間隔
輸血の副作用には、輸血開始直後に見られるものや数時間経ってから見られるものもあるので、輸血中だけでなく観察を行うことが大切です。
また、バイタルサインの測定だけでなく、患者さんの訴えや表情、呼吸状態などの観察を行うことが必要になります。
看護師の観察が異常の早期発見のポイントになります。
輸血実施中だけでなく、輸血後もしっかり観察を行いましょう!
安全に輸血を実施するために
輸血は輸液などと違って他人の異物が体の中に入るため副作用が起こりやすいです。
副作用の出現は、輸血開始直後だけではないため、輸血が終了した後も観察を続けることが必要になります。
輸血による副作用は患者さんの命に関わるものも多いので、異常の早期発見と適切な対処が大切になります。
輸血中は、決められた時間での観察だけでなく、適宜観察を行うことがポイントです!
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