注意するのは挿入時だけじゃない!中心静脈カテーテルの合併症と対応

こんにちは、看護技術の記事を担当している元看護師のTOMOです。今回は、中心静脈カテーテルの合併症と対応についてお伝えします。

中心静脈は、鎖骨下や内頸にある太い静脈にカテーテルを挿入する方法です。

挿入はドクターが行うので、看護師は介助がメインになりますが、挿入中や挿入後の観察が必要になります。

合併症の中には患者さんの命に関わる緊急性が高いものもあるので、しっかり理解しておきましょう。

どのような合併症が起こるのか、合併症が起きた時の対応について知っておくと慌てずに済みますよ!

中心静脈カテーテルの目的

水分や電解質、栄養などを経静脈的に持続的かつ大量に注入するため

中心静脈カテーテルの合併症

中心静脈カテーテルはドクターが挿入を行いますが、合併症が起こる可能性が高い場面は2パターンあります。

  • カテーテルの挿入中
  • カテーテルの挿入後

この2つのパターンによって、それぞれ起こる合併症が異なってきます。

場面に合わせて起こりうる合併症を理解しておくことが大切になります。

中心静脈カテーテル挿入中の合併症

中心静脈カテーテル挿入中に考えられる合併症は以下の通りです。

  • 気胸
  • 動脈穿刺・血腫・血胸
  • 空気塞栓

これらが中心静脈カテーテル挿入中に起こる合併症になります。

カテーテルの挿入中は看護師が介助と観察のために同席しているので、異常を見逃さないようにすることがポイントです。

それぞれの合併症と対応について見ていきましょう。

気胸

気胸は、肺に穴が空いてしまった状態のことを指します。

鎖骨下静脈を穿刺する場合、鎖骨下静脈のすぐ下には肺があるため誤って穿刺してしまうことで起こります。

POINT穿刺時には、胸痛の訴えや咳嗽、呼吸苦、SpO2の低下などの変化が見られないか観察しましょう。

異常が見られた時は、すぐに医師に報告します。

動脈穿刺・血腫・血胸

動脈穿刺は、穿刺時に誤まって動脈に穿刺してしまうことです。

動脈を穿刺してしまった場合は、止血のために最低でも5分以上は圧迫が必要になるため、滅菌ガーゼを多めに準備しておくなどの対応が必要になります。

また、出血傾向にある患者さんの場合は、皮下血腫を形成してしまったり、胸腔内に血液が溜まってしまう血胸などの症状が見られることもあります。

実施中はバイタルサインの変化を観察しながら、患者さんの表情なども観察しましょう。

空気塞栓

空気塞栓は、血管内に空気が入ってしまう状態のことです。

カテーテル挿入時に胸腔内の陰圧によって空気が血管内に引き込まれることで発生します。

空気塞栓症を起こしてしまうと、胸痛や呼吸苦、息切れ、頻脈などが見られ、脳塞栓になてしまうと意識障害や麻痺などの症状が見られます。

POINT発生してしまうと後遺症が残ることがあるため、迅速な治療が必要になります。

中心静脈カテーテル挿入後の合併症

中心静脈カテーテル挿入後の主な合併症は以下の通りです。

  • 感染
  • カテーテルの閉塞
  • 高血糖

これらが中心静脈カテーテル挿入後の合併症になりますが、日々のケアの中で対応していくことが大切になります。

それぞれの合併症を見ていきましょう。

感染

感染は一番起こりやすい合併症の一つになります。

刺入部位や輸液ライン、接続部、輸液の汚染が感染の原因となり、全身に菌が回ってしまい敗血症になってしまう危険性があります。

中心静脈カテーテルを扱う際には、無菌操作をしっかり行い、感染の原因を作らないことが大切です。

感染の兆候としては、刺入部位の皮膚の状態や血液検査、バイタルサインに異常が見られます。

異常が見られた場合は、すぐに医師に報告することが必要です。

カテーテルの閉塞

カテーテルの滴下速度が遅かったり、輸液が落ちない場合などは、カテーテルが閉塞してしまっていることが考えられます。

閉塞の原因は、カテーテル内や周囲に血栓が形成されていることですが、落ちないからといってフラッシュして無理やり押し込もうとするのはNGです。

血栓による閉塞が疑われる場合は、すぐに医師に報告します。

高血糖

高血糖は、中心静脈カテーテルで栄養剤の投与を行った時に見られる症状です。

高カロリー輸液は、高濃度のブドウ糖が含まれているため高血糖状態になりやすいのです。

状態が悪い患者さんの場合は、すでに高血糖状態になっていることもあるため、栄養剤の投与によってさらに悪化してしまうことがあります。

高血糖を予防するためには、インスリンを高カロリー輸液に混注したり、輸液ポンプを使用したりすることが大切です。

中心静脈カテーテルのポイント

中心静脈カテーテルは、挿入時と挿入後の両方の観察が重要になります。

特に、挿入時の合併症は、患者さんの命に関わるものが多いので、しっかり観察を行うことが求められます。

処置を行なっているドクターからは患者さんの表情が見えない場合が多いので、付き添いの看護師が声かけや表情の観察を行います。

また、挿入後は看護師のカテーテル管理が重要になるので、合併症を起こさないためにも病棟全体で管理を行なっていく必要があります。

中心静脈カテーテルの挿入は、透視下で行われることも多いですが、観察するべきポイントは同じです。

処置中はできるだけ患者さんに声かけを行い、異常の早期発見を行うことがポイントです!

中心静脈カテーテルの合併症に対応するために

中心静脈カテーテル挿入時の介助は、ドクターへの介助を行うことも大切ですが、患者さんへの声かけや不安の緩和も必要なケアの一つです。

患者さんの中には痛みや異変に対して我慢をしている人もいます。

合併症や異常の早期発見を行うためには、患者さんの訴えをしっかり把握することが大切です。

合併症を予防して対応するためには、合併症の種類と対応方法を知っておくことがポイントです!

中心静脈カテーテルをもっと深く学びたい人におすすめの参考書

中心静脈カテーテルについてもっと詳しく学びたい人には、こちらの参考書がおすすめです!

根拠と事故防止からみた基礎・臨床看護技術

この本では、基礎看護技術と臨床看護技術がどちらも紹介されており、内容もカラーで写真がたくさん使用されているので、イメージがしやすいのが特徴です。

与薬の技術のカテゴリーで中心静脈内注射・輸液についても説明があるので、看護技術の基礎を身につけるためにも是非持っておきたい1冊です。

その他にも、基礎的な看護技術を学びたい看護師のために、おすすめの参考書をまとめていますので、是非こちらも確認してみてくださいね!⇒臨床看護技術を勉強したい看護師にオススメの参考書3選!

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★TOMO★

★TOMO★

看護学校卒業後は手術室で勤務。その後急性期病棟での看護を経験。現場の看護師不足の問題に直面し、看護師の採用に携わりたいと求人広告業界で営業として勤務。現在はPC1台で仕事をするため、看護師ライターを中心に活動。手術室で働く看護師を応援するため、webサイトで自身の経験を元に情報を発信している。https://openasnurse.com/