こんにちは、看護技術の記事を担当している元看護師のTOMOです。
今回は、正しい経鼻吸引ができる3つのコツについてお伝えします。
一般病棟で働いていると自力で痰を出すことが出来ない人への呼吸ケアや処置を行いますよね。
口腔内吸引や鼻腔吸引は患者さんの呼吸状態を安定させ安楽にするために必要な処置ですが、処置中の苦しそうな様子を見て抵抗を感じている人も多いと思います。
喀痰吸引は痰を出すことができない患者さんにとって必要な処置ですが、正しい方法で実施することが大切です。
根拠を理解して安全にケアを行いましょう!
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経鼻吸引の目的
気道を確保するために口腔内や気道に貯留している唾液や痰を吸引により除去を行い、肺炎などの感染症や気道閉塞を防ぐため
吸引が適応となる疾患
吸引が必要になる病態と疾患は以下の通りです。
嚥下障害、嚥下反射が弱い
脳血管障害や低酸素血症による重度の脳障害、意識障害を伴う先天性疾患や脳性麻痺など、反射的な嚥下やせき込むことが困難な場合。
嚥下機能、呼吸機能に障害がある
脳梗塞、脳出血、筋ジストロフィー、進行性のキーパーソン病、筋萎縮側索硬化症などの神経筋疾患がある場合。
嚥下機能、呼吸機能が低下している
寝たきりの高齢者や神経筋疾患以外の症例に伴う全身の運動機能の低下とともに嚥下、呼吸機能が低下している場合。
一般病棟では寝たきりの高齢者などの嚥下機能、呼吸機能の低下により痰の喀出ができない患者さんが多いですが、上記に当てはまらない場合も必要に応じて吸引を行うことが必要です。
経鼻吸引の必要物品
- 手袋
- エプロン
- ゴーグル
- マスク
- 吸引器
- カテーテル
- アルコール綿
- 水道水を入れたコップ
経鼻吸引の手順
経鼻吸引の実施
1.呼吸状態を確認する
POINT痰の排出が必要な状態であるかどうかを確認し、SpO₂を指に付け処置前の数値を測定しておく
2.吸引チューブの封を1/4ほど開けて、チューブは出さずに吸引器側のチューブと接続する
3.吸引器と吸引チューブを接続したら吸引圧をかける。
POINT吸引圧は粘膜損傷の危険性があるため20KPa以下に設定すること。
4.乾いた状態のチューブを鼻腔に入れると粘膜損傷にもつながるため、吸引圧の確認を兼ねて水道水を入れたカップにチューブを通す。
5.チューブの手で持っている側の先端を折り曲げ圧がかかっていない状態で鼻腔に挿入する。
POINTチューブは15㎝~20㎝より深くいれないこと。
6.1回の吸引で7秒~10秒で終わらせる
POINT吸引圧をかけてチューブをくるくると回しながら引き上げると痰の吸引がしやすい。吸引中は呼吸が出来ないため長時間かけると酸素化が低下してしまう。
7.終了したらSpO₂を測定して数値に変化がないか、吸引前より下がっていないか確認を行う
POINT聴診器で肺雑音の聴診を行い、吸引後の変化をアセスメントする
吸引チューブを再利用する時の手順
1.吸引後すぐにアルコール綿花でチューブをふき取る
2.新鮮な水道水を吸引してチューブ内を洗い流す
3.滅菌された容器に保存しておく
4.チューブは8時間ごとに交換する
POINT基本的にチューブは単回使用になりますが、再利用するときは必ず新鮮な水道水を使用することです。
時間が経った水道水を使用するとレジオネラ菌などで汚染される可能性もあるため、新鮮な水道水を使用しましょう。
経鼻吸引の観察項目
分泌物
色、性状、粘稠度など
バイタルサイン
SpO2の数値など
呼吸
回数、深さ、リズム、呼吸音
チアノーゼの有無
経鼻吸引のポイント
経鼻吸引は鼻からカテーテルを挿入して行う方法ですが、ポイントは吸引時間です。
患者さんにとって、鼻腔吸引の処置は鼻の穴にチューブを入れられている時間が長ければ長いほど苦痛に感じる度合いも大きいので、ケアは素早く終わらせるようにしましょう。
また、肺炎などの患者さんの場合はSpO₂の低下にも気を付けながら実施しましょう。
鼻腔のカーブに沿って挿入し、息を吸った時に進めることが上手くいくポイントです!
安全に経鼻吸引を行うために
喀痰を吸引することは患者さんの苦痛緩和につながりますが、鼻の穴にチューブを入れて行うため患者さんにとっては避けたい処置です。
痰をしっかり喀出することも大切ですが、患者さんの様子に合わせて実施することがポイントです。
患者さんのためにも正しい手順で素早く処置を行うことが安楽につながります。
カテーテルの挿入のポイントやチューブの扱いについて理解しておくことが大切になります!
吸引についてもっと深く学びたい人におすすめの参考書
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この本では、基礎看護技術と臨床看護技術がどちらも紹介されており、内容もカラーで写真がたくさん使用されているので、イメージがしやすいのが特徴です。
第7章の呼吸・循環を整える技術のカテゴリーで吸引についても説明があるので、看護技術の基礎を身につけるためにも是非持っておきたい1冊です。
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