湯の温度とプラバシーの保護がポイント!全身清拭の手順と観察項目

こんにちは、看護技術の記事を担当している元看護師のTOMOです。

今回は、そんな清潔ケアの基本である全身清拭の手順と観察項目についてお伝えします。

入院している患者さんの中には、シャワー浴や入浴が出来ない人も多いです。

汗や体液などによる皮膚の汚染があると不快感を生じ、ストレスにもつながってしまいます。

皮膚の清潔が保たれることで、治療への意欲や前向きな気持ちになれることもあります。

清潔ケアは湯の温度と洗い方をしっかり理解しておきましょう!

全身清拭の目的

全身の皮膚・粘膜の表面に付着している垢や汚れ、汗を取り除いて清潔にするとともに感染を予防するため。

全身清拭の必要物品

・ベースン2個
・ピッチャー大、小
・ウォッシュクロス2枚
・バスタオル2枚
・フェイスタオル2枚
・お湯
・汚水用バケツ
・石けん
・温度計
・新しい寝衣(必要に応じて)
・綿毛布

全身清拭の手順

1.ベッドサイドに物品を持っていき作業環境を整える

2.カーテンや室温などの調整を行いプライバシーの保護に努める

3.患者に綿毛布をかけ、その下で寝衣を脱がせていく

POINT患者に寒気を感じさせないため

4.脱衣ができたら、ウォッシュクロスを湯にしたして絞って手に巻きつけ清拭していく

ウォッシュクロスの温度が40度前後になるように、50度前後の湯ですすぐ

5.首元にフェイスタオルをかけて敷き、目→額→頬→鼻→口→顎→耳→首の順番で枕を濡らさないように拭く。

6.顔が終わったら上肢の清拭を行い、手指→前腕→上腕→肩→腋窩の順番に左上肢から清拭していく

7.ウォッシュクロスは湯ですすいだ後絞って、石けんをつけて泡立たせて清拭を行う

8.前胸部はバスタオルを腹部まで下げ、乳房の形に沿って拭き、側腹部、腹部、恥骨部付近まで清拭を行う

9.前胸部、腹部が終わったら、綿毛布で全身を覆う

10.下肢を足→下腿→大腿の順番で左下肢から清拭を行なっていく

11.下肢が終わったら、患者に側臥位になってもらい背部を清拭する

12.バスタオルを背部の下に敷きこみ、背部からお尻付近まで拭いていく

13.肛門付近は手袋をはめてガーゼを使って清拭を行う

14.自分で陰部が拭ける患者の場合は、陰部用のタオルを渡して拭いてもらう

15.陰部洗浄が必要な場合は、清拭後に陰部洗浄を行う

16.側臥位のまま寝衣の袖を通して仰臥位に戻ってもらう

17.オムツを着用している場合は、側臥位になった時にオムツを合わせておく

18.仰臥位になり、下着やズボンを着用して寝衣を整える

19.患者の体位を整え疲労度などを観察する

20.物品を片付ける

全身清拭の観察項目

全身状態

バイタルサイン

安静度

どれくらい動くことができるのかなど

皮膚の状態

発汗、皮脂の汚れ、排泄物や分泌物による汚染

手術や創部の状態

創部の出血や感染兆候の有無、ドレーンの有無

全身清拭のポイント

全身清拭は時間もかかるため、患者さんにとって疲労度が高いケアの一つです。

ウォッシュクロスの温度は冷めやすいため、湯につけてから絞って拭くまで、出来るだけ手早く行うようにしましょう。

時間がかかってしまうと冷たいクロスでの清拭になってしまい、患者さんに冷感を与えてしまいます。

また、安静度によって体動の制限などがあるため、患者さんの体調や症状を見ながら実施することが大切です。

私も新人の時は自分のことで精一杯でお湯が冷めてしまった経験をしたこともあります。

ケアの実施中は、患者さんのことを優先して観察することが大切です。

冬場はすぐにお湯が冷めてしまうので、室温を少し高くしておくことも方法です。

安楽に全身清拭を行うために

入浴が出来ない患者さんにとって清潔が保持されない状況は、不快感やストレスにもつながります。

清潔ケアを行い清潔が保持されることで治療への前向きな気持ちや意欲を引き出すきっかけになることもあります。

感染を予防して自立を援助するためにも、安楽な清潔ケアを実施できるようにしましょう。

全身清拭について確認したいという人は、今回紹介した全身清拭の手順と観察項目についての内容を参考にしてみてください。

全身清拭についてもっと深く学びたい人におすすめの参考書

全身清拭についてもっと詳しく学びたい人には、こちらの参考書がおすすめです!

看護技術がみえる vol.1 基礎看護技術

基礎看護技術が写真で説明されていますが、コマ送りの細かい写真で紹介されているので流れを理解するのも簡単です。

清潔ケアのカテゴリーで全身清拭についても説明があるので、看護技術の基礎を身につけるためにも是非持っておきたい1冊です。

その他にも、基礎看護技術を学びたい看護師のために、おすすめの参考書をまとめていますので、是非こちらも確認してみてくださいね!⇒基礎看護技術を勉強したい看護学生にオススメの参考書3選!

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★TOMO★

★TOMO★

看護学校卒業後は手術室で勤務。その後急性期病棟での看護を経験。現場の看護師不足の問題に直面し、看護師の採用に携わりたいと求人広告業界で営業として勤務。現在はPC1台で仕事をするため、看護師ライターを中心に活動。手術室で働く看護師を応援するため、webサイトで自身の経験を元に情報を発信している。https://openasnurse.com/