新人看護師の場合、毎日慣れない業務に追われながら受け持ち患者さんと接することも多いと思います。
病棟ではバタバタしながらも、点滴開始してとドクターに指示され輸液療法を毎日実施していますよね。
指示されたから実施しているけどなぜこの薬剤なのか、なぜこの患者さんには点滴が必要なのかを理解しきれていないと感じている人も多いとおもいます。
看護師として知っておきたい輸液製剤の目的と種類について紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
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輸液療法を行う目的を理解しよう
病棟で働いていると、いきなりドクターから点滴指示出したから実施しておいて、などの指示を受けることも少なくありません。
「今まで点滴が必要なかったのになぜ?」と、新人看護師であれば1度は考えたことがあると思います。
輸液療法は患者さんにとって必要な治療になるので、目的を理解しておきましょう。
学生時代の解剖生理学で勉強したように、人間の身体には体液というものが存在します。
体液には電解質や水、糖質などが含まれ身体の内部環境を保つのに必要とされています。
何らかの原因で内部環境のバランスに変化が生じた場合は、補正して正常な状態に戻す必要があります。
治療のために行う輸液療法の目的は次の3つです。
◎維持輸液
1日の代謝に必要な水・電解質を補給する目的で行う
◎欠乏輸液
下痢や嘔吐によって失われた水・電解質の不足量を補う目的で行う
◎ライン確保
薬剤を投与する目的で行う
患者さんに実施される輸液療法には必ず目的があるので、輸液の指示が出されたらどんな目的なのかを考えてみましょう。
欠乏輸液と維持輸液を理解しよう
ドクターから指示で出された輸液を指示通り投与することは看護師の役割ですが、何となく使用されている薬剤の種類を知らずに指示通り投与している人も多いと思います。
輸液製剤には目的に合わせた薬剤が入っており、間違った輸液を投与してしまうと重大な症状を引き起こす危険性もあるため、最低限知識として知っておきましょう。
輸液の目的は先ほど紹介しましたが、臨床では欠乏輸液と維持輸液がメインの輸液療法になってきます。それぞれの意味と目的をみていきましょう。
欠乏輸液
体の中の水分やNa、K、Ca、Pなどの電解質やビタミンなどの不足を補い、内部環境を維持する目的で行う。欠乏輸液を行う症例としては、重症な下痢などのときに実施される。
ここでのポイントは、「欠乏しているものは何か」を見極めて理解することです。
必ず血液検査データの電解質と脱水などの、臨床症状を確認することが必要です。
維持輸液
生命を維持するために内部環境に必要な1日に必要とされる最小限の水や電解質、エネルギー量を補う目的で行う。
維持輸液の特徴は、経口摂取が開始されない限り継続して行われる。
例えば、経口摂取できず重度の下痢症状がみられ電解質の欠乏がみられる場合は、欠乏輸液と維持輸液の両方を投与することになります。
臨床で寝たきりの弱った患者さんには何種類も点滴が投与されている姿をみたことがあると思いますが、これらの目的で投与されているのです。
輸液製剤の種類を押さえておこう
患者さんに投与されている輸液製剤は、同じ薬剤の指示がある人もいれば違う薬剤の指示があり、患者さんによって使い分けられていることに気づいている人 も多いと思います。
輸液製剤は入っている成分が違うため、目的に合わせて選択をされているのです。
輸液製剤を大きく分類すると以下の通りになります。
◎水分輸液製剤
水分補給が目的で主に5%ブドウ糖液があり、細胞内外の水補給に適している。
◎電解質輸液製剤
水と電解質の補給を目的とした輸液製剤。これらは等張液、低張液、高張液に分類され、成分と目的に合わせて選択される。
◎血漿増量剤
循環血液血漿量の補正など血管内の膠質浸透圧を維持する場合に使用される。代表的なものでは、アルブミン製剤などがあげられる。
これらの輸液製剤がありますが、病棟でよく使用されるのは電解質輸液製剤ですよね。
リンゲル液と1号~4号液の違いを理解しよう
電解質輸液製剤にもたくさん種類がありますが、リンゲル液と1号から4号の輸液の違いについて紹介します。
◎リンゲル液、酢酸リンゲル液、乳酸リンゲル液
生理食塩液にはNa+とCl-が含まれているが、K+とCa2+を含みより細胞外液(血漿)に近いものがリンゲル液と呼ばれる。等張液の中で最も細胞外液に近いものになっているので手術時や出血性ショック時に使われることが多い。
◎1号から4号液
低張性の電解質輸液製剤で主に細胞内液に分布している。1号から4号の違いは整理食塩水を5%ブドウ糖液で割った割合と電解質の含有量。
◎1号液と2号液(生理食塩水を5%ブドウ糖で1/2~2/3に希釈したもの)
1号液にはKが含まれておらず脱水の患者さんなどに投与されることが多い。2号液はKとPが含まれており、細胞内外の電解質補正のために投与される。
◎3号液と4号液(生理食塩水を5%ブドウ糖で1/3~1/4に希釈したもの)
3号液はK、P、Mgなどが含まれており、水・電解質維持輸液目的で投与される。4号液はK、Pを含んでおらず電解質補正の必要がない水分補給目的で投与される。
これらのように、目的に合わせて輸液製剤も選択されています。
電解質は特に腎機能に深く関係してくるので何が入っているかを理解しておくだけで、患者さんのアセスメントもスムーズに理解することができます。
輸液療法を安全に行うために
輸液療法は直接患者さんの体内に入るため、点滴のつなぎ間違えなどのミスが起こると命に関わることもあります。
患者さんの治療には必ず根拠が隠れているので、なぜこれを使っているのかという視点をもって看護を行うことで、患者さんの状態が見えてくるようになります。
その疑問と知識が、患者さんの安全を守ることもあります。
新人看護師にとって薬剤を扱うことに対して不安も感じているかもしれませんが、紹介した内容のように1つずつ知識を深めて身に着けて行ってください。
少しずつを繰り返していくことで自分の成長となり自信にもつながってきますよ。
輸液療法についてもっと深く学びたい人におすすめの参考書
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現場では教えてもらえない輸液の基本が紹介されているので、輸液の基本を勉強したいという新人看護師におすすめの1冊です。
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