こんにちは、看護技術の記事を担当している元看護師のTOMOです。
今回は、薬と食べ物の危険な飲み合わせについてお伝えします。
入院している患者さんの中には、ADLも自立していて内服薬を自己管理されている人もいますよね。
院内で処方されている処方薬には飲み合わせが禁忌な薬の処方はされていませんが、実は食べ物と薬の相性が悪いものがあるのです。
「内服時に牛乳しかないから」と、牛乳で薬を内服する患者さんの姿を見たことがある新人看護師もいると思います。その飲み合わせは本当に大丈夫でしょうか?
内服薬と食べ物の危険な飲み合わせを7パターン紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
これを押さえておくと、退院時の内服指導でも使えるのできっと役に立ちますよ。
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1)納豆、クロレラ×抗血栓薬(ワーファリンカリウム)
これは国家試験にも出てくるくらいメジャーな組み合わせですよね。
あとは青汁なども注意が必要です。
・ワーファリンカリウムの効果が弱くなるため
納豆などのビタミンKを多く含む食品と飲み合わせると、ビタミンKを腸内で産生し薬の成分と結合して、ビタミンK依存性血液凝固因子が生合成されてしまいます。
その結果、ワーファリンカリウムの作用が弱まってしまい効果が得られなくなってしまいます。
ワーファリンカリウムの効果が得られなくなってしまうと、血栓ができやすくなってしまい脳梗塞や心筋梗塞などの病気を引き起こしてしまいます。
患者さんにも、患者さんのご家族にも説明が必要です。
2.牛乳×抗菌薬、カルシウム製剤、抗酸剤、エリスロマイシン
牛乳はカルシウムが摂れるため、毎日欠かさず飲むという人は多いですよね。実はこれも注意が必要です。
・カルシウムが薬の邪魔をしてしまうため
抗菌薬、カルシウム製剤、抗酸剤は牛乳に含まれるカルシウムイオンと結合すると、難吸収性複合体を形成するため、薬物の吸収率が低下してしまい効果が得らえなくなってしまいます。
このカルシウム製剤は骨粗鬆症の治療薬として処方されることも多く、骨のために牛乳を飲みこの薬も飲んでいるという高齢者の人も多いため注意が必要です。
・エリスロマイシンは過剰反応してしまうため
またエリスロマイシンは、牛乳の成分が消化管内で薬の可溶性を促進してしまい、薬物の吸収率が増加してしまいます。
牛乳と飲んでしまうことで、過剰に効果が出てしまい危険です。
これらの内服薬がある場合は、説明して水で飲むようにしてもらいましょう。
3)グレープフルーツ×カルシウム拮抗薬、抗不整脈薬、狭心症治療薬、免疫抑制剤
こちらも国家試験レベルで有名な組み合わせですよね。これはグレープフルーツジュースでも同じ効果が表れるため注意が必要です。
グレープフルーツが副作用を引き起こすため
グレープフルーツの酵素により代謝されるべき薬物の代謝が阻害されてしまい、薬物の血中濃度が上昇し薬物の作用を増強させ副作用が出現してしまう危険性があります。
不整脈や狭心症など循環器系に関わる重要な薬が多いため、薬物の効果が得られなければ心筋梗塞などの重大な疾患を引き起こしてしまうため注意が必要です。
4)紅茶、コーヒー×気管支拡張薬、抗うつ薬
紅茶やコーヒーは毎日飲んでいるという人も多いと思いますが、こちらも飲み合わせに注意が必要です。
・カフェイン中毒を引き起こすため
気管支拡張薬はテオフィリン、抗うつ薬はフルボキサミンマイレン酸塩というものになりますが、カフェイン含有の飲み物と飲み合わせると、お互いの代謝を阻害してしまいます。
そのため、カフェインの血中濃度が上昇し、カフェイン中毒を起こす危険性があります。
5)アルコール×鎮痛剤、睡眠薬、抗ヒスタミン薬、降圧剤、抗不安薬、抗うつ薬
これは学生時代の薬物学で勉強してきたと思いますが、アルコールと薬は最も合わせるべきではない組み合わせですよね。
・アルコールにより作用が増強するため
鎮痛剤、睡眠薬、抗ヒスタミン薬、糖尿病薬、降圧剤との飲み合わせでは、薬物の代謝酵素の働きがアルコール代謝により阻害されるため薬物の代謝が遅延してしまいます。
その結果、薬効が増強し降圧剤では血管拡張作用が増強してしまい、起立性低血圧を起こす危険性があります。
・アルコールで過剰な眠気が引き起こされるため
抗不安薬、抗うつ薬とアルコールは中枢抑制作用が増強し過鎮静や眠気が生じます。
アルコールも薬物の一種であり血圧上昇や様々な症状がみられますが、薬物と併用すると過剰に薬効が現れたりするため注意が必要です。
特に中年のアルコールを飲むという患者さんには説明しておきましょう。
そのため精神科系の薬物を内服している患者さんには、普通の患者さん以上に注意が必要です。
6)柑橘系ジュース×水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウム配合の消化性潰瘍治療薬+塩基性薬物
柑橘系ジュースも飲み合わせに注意が必要ということは、意外に知られていないことが多いです。
・柑橘系ジュースで副作用が引起こされるため
柑橘系ジュースと飲み合わせると、尿がアルカリ性に傾き薬物の尿管からの再吸収が促進されてしまい、薬物毛中濃度が上昇し副作用症状が現れることもあるため注意が必要です。
病棟では家族からの差し入れで柑橘系ジュースを持ってこられるケースもあるため、内服薬を確認して飲み合わせに注意が必要です。
7)タバコ×抗精神病薬、抗不安薬、抗うつ薬、経口避妊薬
食べ物ではないですがタバコも薬物との組み合わせには注意が必要です。タバコ自体もニコチンやタールなどの薬物を含んでいるので薬物ですが、喫煙者も多いので身近に感じるものですよね。
・タバコが薬の効果を減らしてしまうため
抗精神病薬はクロルプロマジン塩酸塩、抗不安薬はジアゼパム、抗うつ薬はイミブラミン塩酸塩とタバコの組み合わせは薬効が減弱していまい、薬本来の効果が得られなくなるため注意が必要です。
精神科疾患の薬ですが、必ず患者さんの喫煙の有無や喫煙歴を把握しておきましょう。
そのため、喫煙との関係を説明し理解してもらう必要があります。
安全な内服指導ができるようになるために
病院で入院している間は患者さんの内服状態は看護師が把握していますが、患者さんにとって本当に大切なことは退院後です。
看護師が注意をしていても、退院後に実施できていなければ意味がないですよね。
内服薬の指導は退院後にも深く関わってくるので、患者さん本人と患者さんの家族を巻きこんで行うことが必要です。
今回紹介した薬と食べ物の組み合わせですが、意外に知らなかったという人もいるのではないでしょうか。
ここで紹介した7つの組み合わせを押さえて患者さんの内服指導に生かしてください。患者さんにとって良い指導ができる看護師になれるはずです!
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