最近は病院で勤務する男性看護師も増えてきましたが、看護業界はまだまだ女性が多い職場です。
女性が多い職場ということもあり、出産を経て職場に復帰している人も多いのではないでしょうか。
女性の社会進出が進んでいる中で、看護師の中にも産休を取得して、職場復帰する人は少なくありません。
では実際に、妊娠して産休・育休をとるまでの流れはどのようなものでしょうか。
産休・育休についての基本的なことから、勤務時間が不規則な看護師が産休・育休に入る際に、知っておいた方が良い応用編についてまとめてみました。
産休、育休の期間
そもそも産休や育休っていつまで休めるの?と思った人も多いのではないでしょうか。
まず産休とは「産前休暇・産後休暇」のことです。これは労働基準法によって定められている休暇です。
産休
産前6週、産後8週(日数にすれば産前42日、産後56日)
産前42日間は産休として一般的に休む人がほとんどですが、希望すれば休みを取らなくても良い期間でもあります。
家計の都合やキャリアアップの関係など、希望すれば出産直前まで働くことができます。
しかし、産後56日のうち最初の42日間は母体保護のために絶対に休まなくてはいけない期間です。
万が一、この期間に女性を就労させた場合は雇用者が罰せられることになっています。そして、産後43日目以降、女性本人が希望して医師からも許可が出た場合のみ働くことが可能です。
また、看護師として働く人に確認しておいて欲しいのが夜勤についてです。
妊娠前から夜勤をしていない人は問題ありませんが、普通に勤務していればほとんどの看護師が夜勤業務もしているはずです。
そのため自分の働いている職場では、妊娠したら夜勤はどうなるのかを確認しておきましょう。
妊娠5か月になった時点で妊婦は全員日勤業務のみになる職場もありますが、上司が配慮して6か月位で日勤業務のみになる、妊娠した時点で夜勤回数が減るなど対応は様々で、統一されているわけではありません。
夜勤免除の申請をしなければ、自分にそのつもりがなくてもお腹が大きくなってくるまでは、夜勤を組まれてしまうということもあるかもしれません。
実際、夜勤中に切迫早産になってしまったという看護師もいます。
妊娠した時点で職場の労働規定を確認し、夜勤をどうするか自分の上司と相談しておきましょう。
また、自分がいつから産休に入るかを把握し同じ部署の人たちに知っておいてもらうことで、つわりやお腹の張りが強いなどのトラブル時に休ませてもらえることもありますし、 体力的に負担のかかる業務は代わってくれることも期待でき、安心して妊婦として働けます。
育休
・産後休暇終了後~赤ちゃんが1才の誕生日前日まで取得可能
・特別な理由がある場合は1才6ヶ月まで延長可能
産後56日の休みを終え、育児のためにさらに休む人には育児休業の制度があります。
赤ちゃんが1才になる前日まで取得することができる休みのことです。
保育所に入所できず、入所待ちの場合やそのほか特別な理由がある場合は、赤ちゃんが1才6ヶ月の誕生日の前日まで育休を延長して取ることが可能です。
産休・育休中の給料
産休をとっている間は、お給料はどうなるのでしょうか。
産休中、ほとんどの職場ではお給料がでません。
「それは困る!」と思うかもしれませんが、心配しないで大丈夫です。産休中、無給になってしまった人を支えるために、産休取得中の人には出産手当金がもらえる仕組みになっています。
これは職場で加入している健康保険からもらえるものです。ですから、勤務先の健康保険に加入していることが条件になります。国民保険加入の人は支給の対象外です。
< 出産手当金としてもらえる金額 >
・日給の3分の2×産休をとった日数(日給は月給÷30で計算)
月給=基本給?と疑問に思うかもしれませんが、ここでいう月給とは「標準報酬月額」のことです。
これは年1回、毎年4、5、6月の3か月間の給料を平均して算定されるものです。これをもとにして、保険料や保険給付額が決定されます。
この算定に使われる給料とは、4、5、6月の間に支給された賃金全てです。つまり残業代や○○手当など全て含んだ上で算定されています。
< 出産手当金の支給について >
・支給される出産手当金の額=日給の2/3×産休日数
・日給= 月給(標準報酬月額)÷30
注意したいのが、産休が終わってすぐ申請しても、出産手当金がもらえるのは申請後1~2ヶ月かかります。
そのため産休前に稼いだ給料が振り込まれてから、出産手当金がもらえる日まで最長2~3か月ほど振込がない場合があります。
その期間旦那さんの給料だけになって収入が半減しますので、共働きの収入で家計をやりくりしていた人は注意が必要になってきます。
産休中は出産手当金が支払われますが、育児休業中は育休中は月給の50%が育児休業給付金として、育休中のママやパパに支払われます。
育児休業中も、基本的に職場からの給料支払いがありません。
そのため育休当事者が加入している雇用保険が、お給料の代わりになるようにと育児休業給付金を出してくれるのです。
育児休業給付金も出産手当金と同じように、もらえる人ともらえない人があります。
給付をもらえる人は雇用保険に加入していて、「育休前の2年間で1ヶ月に11日以上働いた月が12ヶ月以上ある人」という条件があります。
ただし、これ以外にもいくつかの細かい条件があるため契約職員や転職してきた人は、事前に必ず確認しておきましょう。
また妊娠中に退職する人や育休後に退職する予定の人ももらえないため注意が必要です。
育児休業給付金の支払いは2ヶ月毎で、給付金をもらうための手続きは職場がしてくれるのが一般的です。
支給のある2ヶ月毎に申請が必要なため、ママやパパの手元には職場から、育児休業給付金の手続きのために記入が必要な書類が届きます。
それに記入して職場に提出することで、職場がハローワークで手続きをしてくるという流れです。
ただし、育児休業給付金の場合も、書類を提出してすぐに給付金が支払われるわけではありません。
職場側も他の育休者と一緒にまとめて手続きしたりする場合もあるため、最初に書類提出してから給付に3~4ヶ月かかることもあります。
そのため育休に入ってからもお金がすぐにもらえるわけではないとうことを考えて、お金のやりくりをしてくださいね。
< 育児休業給付金の支給について >
・月給の50%が支給される
・2ヶ月毎の支給で、手続きも2ヶ月毎に必要
・支給の手続きは職場がしてくれるのが一般的
職場復帰のタイミング
育休を終えて、仕事に戻るのはいつが最適なのでしょうか。
これに関しては人それぞれの家庭事情やライフサイクルがあるため、どの時期が良いといったことはありません。
育児への考え方や子供が過ごす環境へのこだわりは人それぞれです。
また育休を終えてから、子供をどこに預けるのかも家庭環境によっても異なってくるかと思います。
< よくあるケース >
①1才になった時点で職場復帰して院内の託児所に預ける
②1才になった時点で職場復帰して、最初は院内保育園に預けて翌年の4月に院外の希望の保育園に預ける
③4月の保育園入園に合わせて職場復帰する
※③の場合、子供が1才になっていないけれど認可保育園に入れる可能性を上げるため、早めに育休を終えて4月に復帰。または、4月の1才児クラスに入所するのに合わせて育休を少し延長してから職場復帰するということです。
基本的には、赤ちゃんが1才になった時に復帰している看護師が多いのではないでしょうか。
病院では院内に託児所を併設しているケースも多く、8月や12月といった中途半場な時期でも職場に復帰することができるのが看護師の強みともいえます。
しかし院外の認可保育園や認可外保育園に預けるのであれば、事情は異なります。
一般的に保育園の新入園は4月になるため、認可保育園や人気のある私立保育園に4月以外の時期に入所しようとするのはかなり難しいです。
理由としては、認可保育園は入所児童の定員が決められているため、一度入所した子が保育園を退園しない限りは定員に空きがでません。
そのため入所希望してすぐに入所できるわけではなく、定員に空きがでるまで待たなくてはいけません。
認可外保育園でも、人気のある保育園だと定員に対して入園希望者が多くなるため、やはり同じように難しくなってきます。
< 保育園について >
・職場に併設の託児所なら時期を問わず入所できる
・認可保育園や人気の認可外保育園は4月の入園以外は高い確率で入園待ちが必要
ただ院外の保育園に預けるということは、希望の保育園に入園できたということが前提になるので、もし希望の保育園に不採用だった場合などはどうするかということも考えておいた方が良いでしょう。
もし、おじいちゃんやおばあちゃんがお世話をしてくれるという場合は、復帰のタイミングも柔軟に決めることができるかもしれません。
復帰のタイミングを考える時の重要なポイントは、子供の預け先はどこにするかということです。
上記に書いてあるとおり、院内保育園であればいつでも入所可能なので特に心配ありません。
しかし、もしあなたが院外保育園に預けたいのであれば、早めにその決断をする必要があります。
理由としては、認可保育園の場合だと入園希望の前年の10月位から(自治体によって異なります)、新入園希望者の募集が始まるからです。
認可保育園の募集は先着順で決まるわけではないので焦る必要はありませんが、募集に必要な書類提出の受付期間は大体1ヶ月位です。
どうしようかと迷っているうちに募集が終わってしまった、ということがないように気をつけましょう。
< 預け先を決める際のポイント >
・院外の保育園に入園希望なら早めに決断を
・認可保育園や私立保育園は入園募集の期間が決まっているため注意が必要
・おじいちゃん、おばあちゃんに手伝ってもらえるか育児について家族と相談を
院内保育園がある職場であれば、産休前や育休中に院内保育園を利用するかどうか職場から確認してくれることもあります。
院内保育園について知りたいことは、事前に確認しておきましょう。
また子供をどこに預けるつもりか、いつ頃復帰を考えているかなど事前に相談しておけば、復帰時や育休延長時でも話がスムーズになります。
そのため所属部署の上司に産休前に相談しておくことをオススメします。
産休・育休を取る時の手続き
産休・育休を取る時の手続きはどのような流れで行われるのでしょうか?
まずは、妊娠が確実になった時点で妊娠証明書の提出をする職場が多いはずです。出産予定日が記載されますので、これでいつから産休に入るかが決定されます。
妊娠証明書は、かかりつけの産婦人科で希望すれば書いてもらえますが、お金がかかってくるので注意しておきましょう。
看護職員が数十人以上の規模の病院であれば、産休・育休などを担当する部署があるため、産休が近くなればそこから連絡がきたり書類が届くはずです。
産休に入る前に必要な提出書類も教えてくれたり、担当者が産休、育休の流れについて説明してくれることもあります。
周りの育休明け・子育て中の先輩や同僚に、どんな流れなのか確認しておくのも良いですね。
< 手続きの流れ >
・最初に妊娠証明書を職場に提出することが多い
・産休・育休を取るために必要な書類は職場が用意してくれるのが一般的
珍しいケースではありますが、小さな規模の病院だと産休を取った職員の前例がないため産休までの流れを事務側も良くわかっていない、ということもあります。
そのため産休の時期が近くなっても産休に関する連絡が全くない場合は、念のため自分から確認するか上司を通しましょう。
また産休・育休に関する書類はとても大切なものです。
ちゃんと記入して提出し処理がされなかったら、出産手当金・育児休業給付金の支給が遅れることもとあります。
書類をもらったら何を提出するのか、記入漏れはないか、書類と一緒に添付する資料はないか、など赤ちゃんが生まれるまでにしっかり確認しておきましょう。
< 気を付けたいポイント >
・支給金振込が遅れることもあるため、必要書類は記入ミス・提出漏れがないように
・添付資料が必要な書類もあるので、後々慌てないために出産前に内容確認を
産休・育休を理解しておくことは非常に重要
妊娠~育休までの仕組みについて理解出来ましたでしょうか?何だかとってもややこしい仕組みのように思えますが妊娠・出産・育休が一気にくるわけではないので心配しなくて大丈夫です。
そのため産休が終わる時期に育休の書類を提出して、育休申請・育児休業給付金の手続きをするというように、段階を追って進めていく形です。
そろそろ産休が終わるから育休の手続きが必要なのに職場から何も連絡がない時にも、スグに確認できるようにしておきましょう。
育休をとる期間や復帰のタイミングは、あなた自身のライフサイクルの中でも重要なポイントです。
なぜなら自分自身のキャリアアップに関わってきたり、次の妊娠を希望する人には、復帰してどのくらい働いてから次の子を妊娠するといった妊娠計画にも関わってくるためです。
自分の思っていたライフプランを実行できるよう、子供の預け先や復帰時期などしっかり考えておきましょう。
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nastea編集部
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