静脈ライン部位の管理と点滴中の観察ポイントについて

病棟では静脈ラインを確保する機会が多く、合併症を予防するために確保したラインの管理が重要になります。

特に点滴中の観察は大切であり、点滴の薬剤によっては様々な副作用が出現する可能性があります。

そのため、合併症が起きた時はすぐに対応できるよう知識を身につけておく必要があるのです。

今回は、静脈ライン部位の管理と点滴中の観察ポイントについて見ていきましょう。

静脈ラインとは点滴のこと

病棟や職場によって呼び方が異なることもある、静脈ライン。

静脈ライン確保などの使い方をされますが、これは末梢静脈路確保の点滴のことであり、他にもDIVやルート、点滴などと言われることがあります。

点滴を行うためには点滴ルートの確保が必要であり、点滴を安全に行うためにはラインの管理や観察も重要になってきます。

点滴の薬剤によっては副作用が出現するものもあるので、合併症やトラブルの早期発見がポイントになるのです。

それでは、静脈ラインの管理と観察ポイントを見ていきましょう。

刺入部位の観察が大切

静脈ラインを確保すると刺入部位をドレッシング材などで固定して、針が抜けないようにします。

患者さんや点滴の頻度などにもよりますが、点滴の処置が必要な患者さんに対して一度ルートを確保するとそのまま留置させることが多いです。

患者さんによっては、一回ごとに抜いてほしいと希望される人もいるので、状況に合わせて選択することが大切です。

基本的には、ルートは留置された状態なので、ラインの刺入部位の観察が大切になります。

・針の固定状態
・接続部の状態
・刺入部位の発赤や腫脹の有無
・血管痛の有無

これらの項目を日々の看護を行う上で観察をします。

刺入部位の発赤や腫脹などが見られる場合は、感染の可能性もあるため、ルートを抜去して入れ替える必要があります。

留置針の交換は状況に合わせて行う

点滴に使用される留置針は、トラブルが起こるまで使い続けるのではなく、状況に合わせて交換することが必要です。

留置針の交換の目安などは、病院の院内マニュアルに記載されているので確認してみてください。

交換の目安としては、CDCガイドラインでは「72〜96時間の間隔で交換する」と推奨されています。

患者さんの安全を考えると3日を目安に交換する施設も多いです。

しかし、感染の兆候やトラブルが見られたらすぐに交換して対処することが必要です。

ガイドラインやマニュアルには交換の目安が記載されていますが、状況に合わせて適宜交換することが大切なのです。

留置した日付が分かるようにしておく

留置針は状況に合わせて交換が必要になるため、留置した日付が分かるようにしておくことが必要です。

病院や施設によって記録に残したり、留置部位に日付を記入するなどの決まりがあるので、しっかり守って行うことが大切です。

点滴中も合併症に注意が必要

点滴中も点滴の滴下の管理などを行いますが、同時に刺入部位の観察も必要です。

点滴を行なっている間にも合併症が起こっている可能性があるので、早期発見するためにも観察が重要なポイントになります。

・静脈炎
・血管外漏出

これらが点滴中に起こる合併症であり、早い対処が求められます。

それぞれの合併症を見ていきましょう。

点滴中に起こる静脈炎

静脈炎とは、静脈壁の炎症のことであり、化学的静脈炎や機械的静脈炎、細菌性静脈炎の3つに分類されます。

静脈炎が起こると、血管収縮により血流が低下して血栓形成を起こし、点滴つまりや血管外漏出の原因となります。

まずは、3つの原因を見ていきましょう。

1)化学的静脈炎

化学的静脈炎とは、薬剤のpHによるものであり、酸性やアルカリ性が強い薬剤により血管内膜が損傷してしまうことで起こります。

2)機械的静脈炎

関節部分への留意や、固定が不十分なことにより血管内で留置針が動くことで内膜の損傷が起こります。

3)細菌性静脈炎

刺入部位から細菌が侵入し、血管内膜に炎症が起こります。

このように静脈炎には3つの分類があり、それぞれ原因が異なるため早期発見が大切です。

静脈炎が見られたらすぐに抜針する

静脈炎の原因は先ほど挙げた3つになりますが、静脈炎を起こしてしまうと以下のような症状が見られます。

血管に沿って疼痛を伴う
・発赤
・腫脹
・熱感
・硬結
・しびれ

これらの症状が見られたら、すぐに抜針して患部を冷やします。

そのまま放置せずに、すぐに対処することが必要になります。

点滴中に起こる血管外漏出

静脈炎の他に点滴の合併症として挙げられるのが「血管外漏出」です。

血管外漏出とは、点滴時に薬剤が血管外の周囲組織に漏出することであり、高齢者に多く見られます。

血管外漏出をしてしまう原因としては、血管損傷や加齢による血管の脆弱化などが挙げられ、ステロイド投与を行なっている患者さんにも見られます。

症状としては、以下の通りです。

・疼痛
・腫脹
・発赤
・しびれ
・滴下不良や逆血がなくなる

血管外漏出後、数時間から数日後
・水疱形成
・硬結
・潰瘍

このように数時間後から数日間にわたって、皮膚症状も出現します。

発見したらすぐに抜針する

血管外漏出を発見したら、すぐに輸液を中止して抜針します。

必要があれば、患部を冷やして挙上します。

薬剤や皮膚障害の程度によって対応が異なるため、医師に報告をして指示を仰ぎましょう。

抗がん剤などの投与は注意する

抗がん剤などの薬剤も点滴によって投与を行いますが、このような薬剤が血管外に漏出してしまうと周囲の組織を傷害してしまう危険性があるため早期に対処が必要です。

抗がん剤などが漏出してしまった場合は、ルート内や針に残存している薬剤を除去するために、3〜5mlの血液を吸引し、組織に浸潤している薬剤をできる限り回収してから抜針します。

静脈ラインの適切な管理を行うために

静脈ラインは栄養補給の目的や抗がん剤投与のためなど様々な場面で必要なります。

安全に処置を行うためには、正しい管理方法と観察のポイントを理解しておくことが大切になります。

特に高齢者は静脈炎や血管外漏出を起こしやすいため、注意しながら観察を行うことが合併症の早期発見につながるのです。

静脈ラインの適切な管理を身に付けたいと考えている人は、今回紹介した静脈ライン部位の管理と点滴中の観察ポイントについて参考にしてみてください。

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★TOMO★

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看護学校卒業後は手術室で勤務。その後急性期病棟での看護を経験。現場の看護師不足の問題に直面し、看護師の採用に携わりたいと求人広告業界で営業として勤務。現在はPC1台で仕事をするため、看護師ライターを中心に活動。手術室で働く看護師を応援するため、webサイトで自身の経験を元に情報を発信している。https://openasnurse.com/