こんにちは、看護技術の記事を担当している元看護師のTOMOです。
今回は、中心静脈カテーテルの刺入部位のケアについてお伝えします。
患者さんの中心静脈カテーテルを見て、「なぜ末梢ではなく頸部に?」と疑問に思った新人看護師もいるのではないでしょうか。
病棟ではIVHやCVポートと呼ばれるカテーテルですが、目的やケアの方法を知らない人もしっかり内容やポイントを押さえておく必要があります。
また、カテーテルの刺入部位は感染の原因にもなりやすいため、観察や消毒などのケアがポイントになります。
中心静脈カテーテルを挿入している患者さんも多いので、しっかり理解しておきましょう!
menu
中心静脈カテーテルの目的
- IVH(高カロリー輸液)など末梢ルートから投与困難な薬剤を投与するため
- 末梢ルートの確保が困難な場合
- 術後や重症患者などで多量の薬剤投与が必要な場合
中心静脈カテーテルの留置部位
中心静脈カテーテルの留置部位は以下の通りです。
内頸静脈から上大静脈へ留置
メリットは穿刺が簡単であり、挿入距離が短く確実である。
デメリットはカテーテルが頸部にあるため邪魔になりやすく、固定が難しい。
鎖骨下静脈から上大静脈
メリットはカテーテル固定が簡単で、比較的邪魔になりにくい。
デメリットは穿刺の際、肺に誤穿刺して気胸のリスクがあり、動脈誤穿刺による出血の危険性がある。
大腿静脈から下大静脈
メリットは穿刺に伴う合併症が最も少ない。
デメリットは排泄物により汚染されやすく、長期留置による静脈血栓を起こすリスクがある。
中心静脈カテーテルの種類
中心静脈カテーテルには、ダブルとトリプルのカテーテルの2種類があります。
トリプルカテーテルの投与経路は以下の通りです。
DISTAL(遠位)
挿入部位から一番遠く、心臓に近い。
カテーテルの穴が一番大きく、メインの補液やIVHを投与するときに使用します。
MEDAL(中間)
カテーテルの真ん中付近にある穴
PROXIMAL(近位)
挿入部位から一番近く心臓に一番遠い。
一番早く血中に流れるため一番速く効果が出てほしい薬剤を投与します。
MEDALと穴の大きさは変わりないことが特徴です。
これらがトリプルカテーテルの投与経路ですが、カテーテルの会社によりチューブの色が違うため、必ず製品の説明書を読んでメインルートの区別をしておきましょう。
メーカーは違ってもカテーテルに細く小さい文字でこれらの部位が書いてありますが、必ず説明書で確認しておくことが大切です。
中心静脈カテーテルのドレッシング交換の必要物品
- ドレッシング材
- 消毒薬付きの綿棒
- 手袋
中心静脈カテーテルのドレッシング交換の手順
1.衛生的手洗いを行い手袋を着用する
2.ドレッシング材を剝がす
POINT皮膚損傷を起こしてしまうと、そこに細菌が付着し感染源となることもあるため、皮膚を確認しながら剥がす。
3.挿入部位を観察する
4.カテーテル刺入部位と周囲を消毒する
5.消毒後、ドレッシング材を貼る
POINTドレッシング材を貼るときはカテーテルをループ状にして余裕を持たせておく
中心静脈カテーテルの観察項目
刺入部位
発赤、出血の有無
皮膚の状態
剥離、発赤の有無
全身状態
バイタルサイン
中心静脈カテーテルのポイント
カテーテル刺入部位のドレッシング材を交換する場合は、必ず手袋をして清潔な状態で行います。
また、カテーテルのドレッシング材の交換は必要に応じて交換していきますが、カテーテル留置部位のドレッシング材が湿った場合や緩んだ場合、目に見える汚れがあった場合などはすぐに交換を行います。
汚れなどがない場合でも長期間のドレッシング材の留置は皮膚トラブルの原因にもなるので、最低週1回は消毒と交換を行いカテーテル刺入部位の観察も行いましょう。
こまめな観察がトラブルを最小限にとどめることができます。
目に見える汚れがあったらすぐにドレッシング材の交換を行いましょう!
中心静脈カテーテルを正しく扱うために
中心静脈カテーテルは患者さんにとっては必要な処置であり、留置にもリスクが伴います。
きちんとケアを行わなければカテーテルの閉塞や感染などが生じることもあるので、しっかりポイントを押さえておきましょう。
基本を知っておくことが大切なので、ぜひ知識を身に着けて実践に生かしてください。
中心静脈カテーテルは種類もあり扱い方が分からず苦手だと感じていた人も、紹介したポイントを押さえておけば安全に管理やケアを行うことができますよ!
中心静脈カテーテルをもっと深く学びたい人におすすめの参考書
中心静脈カテーテルについてもっと詳しく学びたい人には、こちらの参考書がおすすめです!
この本では、基礎看護技術と臨床看護技術がどちらも紹介されており、内容もカラーで写真がたくさん使用されているので、イメージがしやすいのが特徴です。
与薬の技術のカテゴリーで中心静脈内注射・輸液についても説明があるので、看護技術の基礎を身につけるためにも是非持っておきたい1冊です。
その他にも、基礎的な看護技術を学びたい看護師のために、おすすめの参考書をまとめていますので、是非こちらも確認してみてくださいね!⇒臨床看護技術を勉強したい看護師にオススメの参考書3選!
関連記事(PR含む)
★TOMO★
最新記事 by ★TOMO★ (全て見る)
- 慌てず冷静になることが大切!病棟の急変対応の流れについて - 2018年3月4日
- カテーテルの長さがポイント!口腔内吸引の手順と吸引のコツ - 2018年3月2日
- 刺入部位の観察がポイント!中心静脈栄養中のケアの手順と観察項目 - 2018年3月2日