こんにちは、看護技術の記事を担当している元看護師のTOMOです。
今回は、ポジショニングにおける合併症予防のためのポイントについてお伝えします。
患者さんの安楽な体位を保持するために必要なポジショニングですが、多くの人は看護学生時代に経験した技術だと思います。
臨床の現場では、患者さんの状態に合わせたポジショニングを行うことが求められます。
患者さんにとって良いポジショニングかどうか分からない、ポジショニングが難しいと感じる人も多いかもしれませんが。
今回はポジショニングを実施する際の7つのポイントを紹介しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
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1)ポジショニングを行う目的を理解しておこう
ポジショニングとは、あらゆる人に適応となりますが、とくに長期臥床患者、麻痺患者、意識障害患者の安楽な体位および良い姿勢の保持を目的に行われます。
安楽な体位とは以下の状態のことを指します。
・同一部位へ長時間の圧迫が加わらない
・患者の身体の苦痛症状が増強しない
・安定しており、患者が安心できる
上記の3つが安楽な体位ですが、ポイントはなぜ安楽な体位にする必要があるのかを理解しておくことです。
長い間同じ体制で寝ていると同じ場所へ圧迫が加わることにより血流が悪くなり、褥瘡の原因となったり神経障害を起こしてしまことがあるため、正しい方法で安楽な体位を保持することが大切です。
安楽な体位の保持が必要ですが、基本体位もしっかり押さえておきましょう。
・端坐位
ベッドに腰掛けて座る体位
・長座位
足を伸ばして座る体位
・椅坐位
椅子に腰掛けて座る体位
・半坐位(ファウラー位)
呼吸困難があるときなどにとる
・セミファウラー位
角度がファウラーより小さいため、呼吸困難のある患者が眠るときなどにとる
・仰臥位
仰向けに寝るときの体位
・腹臥位
うつ伏せで寝るときの体位
・側臥位
横を向いて寝るときの体位
2)ゆがみと筋緊張を把握しておこう
安楽な体位は決められた体位を取るだけではなく、患者さんに合った体位を取ることが必要です。
患者さんの中には手足の拘縮や筋緊張がある人もいるので、把握しておくことでポジショニングが取りやすくなります。
3)体位変換は頭部から足側の順番で動かそう
身体を動かすときは、一気に全身を動かしてしまうと患者さんが驚きと不安を感じてしまう場合があるので、動かすときは頭部から足側へと順番に動かすようにします。
体位変換の手順は以下の通りです。
①最初に頭部を向けたい方向に動かす
②肩関節、骨盤を支えながら動かす
③最後に足の位置を整える
4)点ではなく面で支えよう
ポジショニングでは体位を安定させるため、点ではなく面で身体を支えるようにします。
狭い面で支えるよりも広い面で支える方が、体圧が分散され接触圧が低くなります。
ポジショニングの調整は、マットレスと患者さんの隙間にピローやクッションを使用して、身体が広い面で支えられるようにします。
5)背抜きを必ず行おう
ポジショニングなどを行った際に身体には摩擦とずれが生じ、褥瘡の大きな原因になります。
そのため、身体を動かした後は必ず「背抜き」を行い、身体とベッドや車いすなどから一時的に話すことでずれを解消します。
ずれを解消することで、寝具や寝衣のしわが取り除かれ安楽にもつながります。
6)拘縮は重力を利用しよう
腕や足、指などに拘縮がみられる患者さんも多いですが、処置の際に無理やり伸ばすことは骨折の原因になるので注意しましょう。
また、無理やり伸ばそうとしてしまうと痛みや不安を与えてしまい、緊張が高まり拘縮が強くなってしまい悪循環になってしまいます。
7)自動運動を妨げないようにしよう
患者さんの中には麻痺がある人もいますが、片麻痺の場合は健側にも注意しましょう。
除圧のためにポジショニングピローが両足の下に入ってしまっていると、健側の足によって蹴られてピローがずれて外れたりしてしまうこともあります。
ポジショニングピローが外れてしまってはポジショニングの意味がないので、患側のピローの位置を考えて配置する必要があります。
安楽なポジショニングを行うために
ポジショニングは看護を行う上で基本的な部分であり、正確なポジショニングが行えていなかった場合は、褥瘡や神経障害などのリスクもあるためしっかり理解しておく必要があります。
特に寝たきりの高齢者も多いので、褥瘡予防のために正しいポジショニングが出来るようにしておきましょう。
ポジショニングは学生時代の実習でやっていたという人もいるかもしれませんが、もう一度しっかり押さえておくことで患者さんの安楽につながります。
またポジショニングがよくわからない、苦手に感じていた人も紹介したポジショニングを実施する際の7つのポイントを押さえて実施してみてくださいね。
ポジショニングについてもっと深く学びたい人におすすめの参考書
安楽なポジショニングについてもっと詳しく学びたい人には、こちらの参考書がおすすめです!
ポジショニングは病棟だけでなく、在宅や手術室など様々な場面で必要になる看護技術ですが、患者さんの状態に合わせたケアが必要になります。
この本では、ポジショニングの基本から症状別のポジショニングまで細かく紹介されているので、ポジショニングの基礎を勉強するのにピッタリな内容になっています。
その他にも、ポジショニングや体位変換を学びたい看護師のために、おすすめの参考書をまとめていますので、是非こちらも確認してみてくださいね!⇒体位変換を勉強したい看護師にオススメの参考書3選!
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