尿検査の目的を押さえよう!尿検査の検査結果の見方について

こんにちは、看護技術の記事を担当している元看護師のTOMOです。

今回は、尿検査の検査結果の見方についてお伝えします。

尿検査の目的を押さえておくことで、患者さんの状態の理解につながりますよ!

尿検査は腎機能や尿路系の異常を知るために行われますが、検査結果の見方やデータの意味が分からないという人もいるのではないでしょうか?

尿検査は血液検査と同様に、患者さんの全身状態を把握するためには必要な情報になります。

尿検査の検査結果の見方を理解しておきましょう。

尿検査の目的

腎・尿路系の異常を知るだけでなく疾患や病態を知り、全身状態を把握するため

尿検査の項目

尿検査には成分に合わせて様々な項目があります。

検査項目は以下の通りです。

  • 一般検査
  • 生化学的定量検査
  • 微生物検査
  • 免疫学的妊娠反応

尿検査ではこれらの項目を調べ、腎臓や尿路系の状態を判断します。

また、尿簡易検査という試験紙法での検査方法もあります。

試験紙法

尿に試験紙を浸して色調の変化を見ることで簡単に結果が得られるものです。

試験紙法でわかる検査項目は以下の通りです。

  • pH
  • 尿タンパク
  • ブドウ糖
  • ウロビリノーゲン
  • ビリルビン
  • ケトン体
  • 潜血反応
  • 亜硝酸塩
  • 白血球

試験紙法では、検査結果が偽陽性や偽陰性になることがあります。

検査結果の基準値と見方

尿検査で行われる項目の基準値と見方について見ていきましょう。

今回は、特にポイントとなる尿タンパク、尿糖、pH、尿潜血、尿比重をピックアップしていきます。

尿タンパク

基準値:陰性(ー)

通常であれば尿中にタンパク質が見られることはありません。

尿タンパクの結果が陽性(+)の場合は、腎機能に異常が考えられます。

血液中に含まれる栄養素などは、腎臓の糸球体で濾過され、タンパク質などは再吸収されます。

しかし、タンパク質が尿中に出ているということは、正常に濾過されていないことが考えられます。

疑われる疾患は、腎炎、ネフローゼ症候群、糖尿病、膠原病などが挙げられます。

尿糖

基準値:陰性(ー)

尿糖は尿にブドウ糖が含まれている状態です。

これも尿タンパクと同様に、正常の場合は尿中にブドウ糖が含まれることはありません。

健康な人の場合でも甘いものを食べ過ぎた後やストレスによって一時的に陽性(+)になることもあります。

尿糖が陽性の場合も、糖尿病や腎機能の異常が疑われます。

pH

基準値:4.8-7.5

正常の尿のpHは弱酸性であり、7.6以上の数値であればアルカリ性になります。

アルカリ性の場合は、尿路感染症や腎疾患の疑いがあります。

また、4.7以下の数値の場合は酸性になり、糖尿病や呼吸性・代謝性アシドーシス、発熱などが疑われます。

尿潜血

基準値:陰性(ー)

尿潜血とは、尿中に赤血球が混じっているかどうかを調べる項目です。

血尿は尿中に大量の赤血球が混じっている状態であり、目視で確認できますが、少量の赤血球が混じっている場合は目視で確認できません。

正常であれば陰性(ー)ですが、検査結果が陽性(+)の場合は、膀胱炎や尿管結石などの尿路系の疾患が疑われます。

女性の場合は、月経血が含まれると検査結果が陽性になってしまうので注意が必要です。

尿比重

基準値:1.010-1.025

尿比重は尿の重さですが、尿には様々な不要物が含まれているため、水よりは比重が重くなっています。

尿比重が1.026以上の場合は、糖やタンパクが漏れ出して重くなっていることが考えられます。

この場合は、糖尿病や心不全、ネフローゼ症候群が疑われます。

また、1.009以下の場合は、慢性腎炎や尿崩症などが疑われます

尿検査のポイント

尿検査は腎臓の機能や尿路系の異常を知るための検査になります。

病院の入院時の検査には必ず入っている項目なので、入院時の検査結果も把握しておきましょう。

入院している患者さんの中には、尿路感染症などを起こしてしまう人もおり、尿路感染が疑われる場合も尿検査を行います。

尿検査を行う場合は、早朝尿を採取して採取後は速やかに検査室へ回すようにしましょう。

私も病棟で働いていた時は、早朝から患者さんの尿検査に走り回っていました。

食後では尿中の成分が食事の影響を受けてしまうため、早朝尿を採取しましょう。

尿検査のデータの見方に迷ったら、今回紹介した記事の内容を思い出して参考にしてみてくださいね!

尿検査の目的を理解するために

尿検査は尿中の成分などを調べるための検査であり、入院時には必ず行われる検査の一つです。

尿を調べることで、目には見えない腎臓や尿路系の異常を知ることができるので、患者さんの状態を把握するための大切なデータです。

入院患者さんの中には、生活習慣病の一つである糖尿病の人も多いので、尿検査のデータもしっかり活用して状態を把握しましょう。

尿検査の意味を理解することで見るべき視点が分かるようになりますよ!

尿検査についてもっと深く学びたい人におすすめの参考書

尿検査についてもっと詳しく学びたい人には、こちらの参考書がおすすめです!

看護師のための 早引き 検査値・パニック値ハンドブック

実習では実際の患者さんの症状からアセスメントを進めていきますが、検査データなどから何が起こっていて、どのような危険性があるのかを考えなければなりません。

情報収集はできたけどアセスメントが苦手という学生は多いと思いますが、正常と異常を判断することが大切です。

この本では検査データだけでなく、検査目的や基準値、主な疾患など細かく紹介されており、学生だけでなく看護師になってからも活用できる内容になっています。

その他にも、尿検査をはじめ看護学生向けのおすすめの参考書をまとめていますので、是非こちらも確認してみてくださいね!⇒看護学生にオススメ!実習で使えるポケットサイズの参考書3選

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★TOMO★

★TOMO★

看護学校卒業後は手術室で勤務。その後急性期病棟での看護を経験。現場の看護師不足の問題に直面し、看護師の採用に携わりたいと求人広告業界で営業として勤務。現在はPC1台で仕事をするため、看護師ライターを中心に活動。手術室で働く看護師を応援するため、webサイトで自身の経験を元に情報を発信している。https://openasnurse.com/